現在の日本の葬儀においては、一般葬の場合は、
- 亡くなった当日~2日までの間の夕方~夜にかけて通夜を行う
- 翌日に葬式と告別式を行う
- それが終わった後に、火葬場で火葬する
という流れをとっています。
キリスト教の場合は本来は通夜はありませんでしたが、ニホンナイズドされていくうちに、日本でのキリスト教の葬儀では通夜も行う形式が増えてきました。
また、本来は通夜は、特に親しい人のみが出るものでした。
しかし今は、
「夜の方が、仕事帰りの人などが出席しやすい」
「日中に行われる葬式や告別式に参列する場合は会社を休むことになる。親戚などならばともかく、あまり近くない関係の場合はこれは少し難しい」
と考える人も増えてきました。
そのため、一般参列者として伺う場合は、通夜に足を運ぶ人も増えています。また、一般葬の場合は、特段の役割を担っていない限りは、事前に連絡する必要もありません。
ただ、これはあくまで一般葬の場合の話です。家族葬の場合はまた少し様子が異なってきます。
家族葬の場合の通夜は、声を掛けられた人のみ
家族葬は、一般葬とは異なり、声を掛けられていない人は基本的には参列できません。
あくまでご遺族やご親族、またご遺族や故人が特別に親しかった人だけが声を掛けられて出るものであり、お声掛けがない限り出席は控えるべきものです。
「声を掛けられなかったが、参加した」という場合はもちろん断られることはないかと思われますが、基本的には伺うことは避けるべきでしょう。
「家族葬を行うと聞いたけれど、どうしても弔意を示したい」ということならば、通夜や告別式に参加するのではなく、弔電などを送るかたちで対応しましょう。
また、ご遺族が辞退のご意向を示されていないのであれば、供花や供物、不祝儀を手配しても構いません。ただ、供花や供物は、場所をとるものでもあります。必ず事前に、送ってよいかどうかを確認しましょう。
なお、確認するべき相手は、悲しみと混乱の渦中にあるご遺族ではなく、葬儀会社です。
弔電は、「弔電辞退」のご意向を伺っていない限りは送っても構いません。
この場合は、特に確認も必要ありません。弔電は、供物や供花とは異なり、場所をとるものではないからです。
ただ、住所が記されていないようならば、送らないのが賢明です。
家族葬での通夜の格好
家族葬に呼ばれた場合は、一般的な通夜と同じ格好で参列するのがよいでしょう。
ダークグレーなどの地味な色のスーツを選び、女性も同じ色合いのワンピースなどを使います。夏場でも露出は控え、七分丈程度のものを選ぶとよいでしょう。
ストッキングと靴下は、黒を選ぶのが安心です。女性の場合はベージュでも構わないとされています。男性のネクタイは黒色を選ぶのが基本ですが、地味なものならば、柄が入っていても構いません。
鞄や靴は、光らない素材のものを選びます。金具がついていないものを選ぶのが正式で、蛇革などは避けるようにしてください。
なお、お数珠を持っていくのは仏教の葬儀のときだけです。
神式の葬儀やキリスト教の葬儀のときには、これは用いません。
「相手の宗教がわからない」という場合は、とりあえず持っていって、状況に応じて取り出すようにしてください。
不祝儀については、「家族葬ならば受け取らない」とするケースが多いと思われます。
ただ、参列者の立場ならば、とりあえず不祝儀は持っていき、「辞退します」と言われたら取り下げる方が安全でしょう(初めから案内のときに「不祝儀は辞退する」とされていればそれに従います)。
現在では通夜を行わないかたちもある
「家族葬」は、一般葬を小さくしたかたちです。しかし単純に「家族葬」と呼ばれる場合は、通夜と、翌日の告別式の2段階で構成されるのが一般的です。
ただ、「もっと小さな葬儀にしたい」ということであれば、通夜を省いたお見送りをすることができます。
「一日葬」と「直葬」がそれです。
一日葬は、通夜を省き、葬式と告別式だけを行います。その後に火葬を行います。
また、「直葬」とは、告別式も通夜も行わず、火葬だけをするものです。このため、「火葬式」とも呼ばれます。
「一日葬は、家族葬の縮小版である」とはいえません。一日葬であっても、一般の参列者を受け入れることはできるからです。
ただ、一日葬を希望するご家庭の場合は、「家族葬で、かつ一日葬」のようなかたちに落ち着くことが多いと思われます。
また、もっとも簡素な式の形態である直葬は、宗教者を呼んで行うこともできますが無宗教で行われることも多いものです。
いずれにしろ、家族葬の通夜は、一般葬のものよりもずっと小規模となります。
ただ、故人の希望として、「できるだけ小さい葬儀にしてほしい」ということであれば、一日葬や直葬の方が簡素にはなるので、これについても選択肢に入れておくべきでしょう。
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